狂人日記

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 4月5日
カタカタカタ……、ふ〜、カタカタカタ……。

「あれ、先生。何しているんですか?」

「原稿の打ち込みだよ。もう少しで今書いている長編も終わりそうだからな」

「打ち込みですか……最近はしてませんでしたもんね」

「悪かったな、ゲームばっかしてて。ま、そんなわけだ」

「あ、いえ……それではがんばってくださいね」

パタン。

カタカタカタ、カタカタ。チーン、ズルズル。カタ、カタカタ……。

「飽きた。ここは気分転換でもするかぁ」

サイト巡回、そしていつしかエロ画像鑑賞。

「先生〜、入りますよ。お布団のシーツ取替えますね」

カチャ(ブラウザ最小化)。

「がんばっていますか?」

「それなりにね、やってるよ」

「そうですか。それでは失礼しました」

パタン。カチャ(ブラウザ最大)。シュボ……ふ〜ぅ。

「あ、そうそう先生……あっ、す、すみません!」

え〜っとですね、言い訳をさせて下さい。今日は暑かった。長く寒い冬ももう
春の陽気を感じさせるようになり、室内は暑かった。思わず扇風機を出そうと
まで考えていたが、さすがに四月の北海道で扇風機はバカだと判断。なもんで
上半身裸だったんですよ。

んで、原稿の打ち込み。二枚打ったら面倒になってエロサイト見て活力を取り
戻そうと思ったが、意外にハマってしまう。おぉ、えぇ食い込みだ。おやおや
こっちにゃ素っ裸でそんな……あやや、こっちではくっ付いてますがな。

でもね、オナニーはしてないよ。してなかったさ。意識してエロを押し出すの
ではなく、惰性で見てただけだから。そう、セックスで言えばしてる最中につい
居眠りしたようなもん(あの時は怒られた)です。やるぜってのと違うの!

しかし見ていたページが「オナニーのネタ画像掲示板」とか書かれていたはず。
こりゃもう、ねぇ。上は裸、見ているページはそんなの。しかも、丁度鼻水を
かんでいて放置してたティッシュ箱とティッシュの塊二個。

幾ら俺がオナニー好き、セックス好き、エロ好きだってもこういう誤解はヤダ。
なもんで必死になって無罪を証明するためにティッシュを広げた俺。引く渚。
泥沼化する状況。いつしか来ていた親父と母。

鼻水かんでいただけだろぉ!


 4月4日
先日お話した鼻スプレーなんですが、あの使用方法はダメだったみたいです。
今日また耳鼻科に行ってきて、その鼻スプレーの構造的欠陥を医者に進言した
ところ「そんなことしちゃダメだよ。えっ、説明書にそう書いてあった?う〜ん
ダメだな、それは」
とありがたいお言葉を頂きました。俺があんなに苦い思いを
していたのは一体何だったのでしょうか?

帰宅すると俺宛てに小包が届いていました。家族からはまたエログッズかメイド
服でも買ったのかと優しい眼差しを頂きました。僕はその眼差しに負けずに小包
受け取ります。あれ〜、何か注文したかなぁ?記憶無いけど……。

差出人は大学のサークルの先輩である松波庄九郎さん。そういえば先日ここの
掲示板でお酒を贈ると言っていたが、まさか?!

小包には四合瓶の日本酒三本がありました。大吟醸、純米大吟醸、純米吟醸
なんて、とても痺れる憧れる表記が。うひゃ〜、これ本当に嬉しい。酒は幾ら
あってもいい。私事ですが、お礼申し上げます。ありがとうございます。って
日記なんだから私事でもいいんだよなぁ……。

まぁ、平凡な人生を歩む俺には今日の出来事なんてそんなもん。しかしそれじゃ
折角ここに訪れてくれた諸君に申し訳無いので、最後に今日の酒屋での一コマを
紹介して、終わりにしよう。

場所は近所のスーパー、行き付けの酒コーナーであるが、店員さんとは親しく
ない。コロコロ変わるしね。そんな酒屋での出来事。

「あの〜、高清水(いつも呑んでる酒。一升瓶)売り切れですか?」

「そうですね、ちょっと無いみたいですね」

「そっか……なら、喉越しの良いさっぱりした日本酒は無いですか?」

「えっと……ちょっとわかんないですね」

「じゃあ、普段は何を呑んでます?今日はそれ買います」

「私ですか?私は普段……呑みませんね

「……」

「あの、お客様?」

しょんぼりパック酒、帰宅後に大吟醸。


 4月3日
普段は家にいてばかりの俺。四月からまともにバイトでもしようと思ってたが
肘の抜糸をしてからいいかなと逃げともとれる判断をしつつ、家でごろごろ。
そんなわけであまり外には出ない俺。ん、肘が何ともなくとも外に出ないくせに
だって?……正解。

だからたまに外に出ると新鮮。と言っても、最近外に出る用事なんて病院に行く
程度のもの。それでも毎日外に出ていれば、様々な刺激が飛び込んできます。
そしてその刺激が、過去の体験を呼び起こしたりするものです。

車を病院から最寄りのスーパーに置き、のんびりと歩いて病院へと向かう俺。
雪はかなり溶け、春を徐々にだが感じさせる陽気だ。十二時前なので、学生も
サラリーマンもいない。……と、思ったらいるのね、学生もサラリーマンも。
サラリーマンは営業としても、おい、学生。お前ら学校だろ?

ともかく病院へと歩く。と、信号が赤なので立ち止まる。早く青にならないかと
ボーっと待っていたら、ふわりといい匂いが。なっ、この匂いは?!

慌てない様に何気無さを装って振り返れば、案の定そこには女。しかも綺麗な
女ですよ。なんつーか、久々に女の匂いを嗅いだような気がするね。いやいや
こんなこと言ってると真性ひきこもりみたいだな。訂正。鼻炎が治ったんだ。
うむ、そうだ。

いやぁ、色気ってのを久々に思い出しましたよ。いいね、色気。色香とでも言う
方がこの場合は正しいのかな。まぁ、ともかくだ、あの女の匂いってのは男に
してみりゃ魔法みたいなもんだね。あれってなんだろうね、シャンプーだけで
あんなにいい匂いがするもんかね?シャンプーだけなら毎朝してるよ、俺もさ。
しかし、きっとそれだけじゃねぇ。きっと俺が寝ている間に何か特殊なことを
してるに違いねぇ。ずるいぞ〜、隠さなくてもいいじゃんかよぉ〜。

あまりこんな電波なことを言ってると変人に思われる。しかし、いい女の匂いは
ほぼ一定だ。あいつはレモン、こいつはミントってばらつきがない。この一定の
匂いってのが、フェロモンなのだろうか?いや、フェロモンって無臭のはずだ。
……う〜ん、ここは大人しくシャンプーだけとしよう。

ここで一つの疑問が沸き起こる。俺は二十二年男として生きてきたが、あまり
男の髪をいい匂いだと感じたことはない。皆無に近い。しかし女は違う。実に
いい匂いをさせるものだ。となると同じシャンプーでも、男女によって何らかの
違いが出てくるものなのだろうか?そういや女ばかりいた部屋は独特だ。同じく
野郎ばかりいた部屋は地獄だ。……女の方が匂いに敏感だしな、きっとその辺の
感じ方も違うのかもしれん。男よりは女の方が「あら、シャンプー変えたの?」
言う会話が似合う。

男が女に対してあぁもいい匂いを感じるならば、女だって男の匂いに惹かれる
はずだ。大雑把ながらも、いい人の匂いはいい匂いだと感じているはずだ。

ってことは、だ。俺が街を歩いていても、すれ違う幾人かの女性達は「……あっ
今の人、いい匂い」
とか思って振り向いているのかもしれない。もっと言うなら
更に限られた人なら「わぁ、いい匂い。惚れそう」とかになっているかも知れない
だろう。いやいや、極々狭めてみれば「今の男の人、いい匂い。気持ちよく胸が
締めつけられて……惚れそう。あ〜ぁ、あんな人と知り合えたらな。そしたら
毎日にでも会って、それから親しくなっていって、そして……って、ヤダ、私
濡れてきちゃってる」
なーんてことになるかもしれない。

袖触れ合う仲も多少の縁と言うが、すれ違うだけで濡れる女もいるかもしれん。
っかぁ〜、がんばっちゃおうかな、俺。そのためにまずは外に出よう。そうして
存在を外界にアピール。それから匂いだ。シャンプーして、フェロモンは汗に
多く含まれてるらしいから、多少汗掻いて……ハァハァ、ハァハァ。

なんてこと考えていたら、制汗スプレーのCMを見て気付いた。そういや汗臭い
男はダメだったな。俺はいい女の汗ならむしろ歓迎なのだが……汗はイカン。
うぬ〜、匂い振り蒔きにはどうすりゃいいのか?

って、今、本当にこれ書いているたった今気付いたが、いい匂いって髪の毛から
出ているんだよな。何故そう思うのか?俺は背が高い。180cmもあれば大抵の
女は俺の鼻より下に髪の毛が来る。だからいい匂いと思える。だが、女からして
みれば、俺の髪の匂いなどしないはずだ。え〜っと、じゃあ……渚、ちょっと
来い。んで、俺と並んで立ってみろ。(渚は158cm)

ワキか……とても不利だ。


 4月2日
痛み止めのために酒を呑むぞぉ〜、ガンガン呑むぞぉ〜と呑みまくっていたら
二日酔いになって肘どころではなくなってしまった。うへぇ〜、具合悪い〜。
肘の痛みはかなり消えたのだが……ヘロヘロ。

昼前にそんなわけで起床したので病院へ。何やら肘の消毒を続けなければ
ならぬらしい。消毒っても、どうせイソジン塗るだけだ。そんなもん自宅でも
できるのだが、俺は病院が好きである。膝のリハビリもせねばならん。

病院へ行ったら診察混んでいるので先にリハビリの方へ向かわされる。酔って
転んで痛めた膝の治療は、暖めてから電気を流すだけ。その間にのんびり本を
読む。非常に優雅な気分になれる。なんつーか、温泉行ってる感じだ。

リハビリを終え、肘の診察に。包帯を取り、初めて術後の肘を見ることになる。
ほぉ〜、黒い糸でしっかり縫われておるわ。んで、抜糸は今日ですか?

「来週ですから、それまでは消毒です」

さほど痛くないからもう抜糸してもらいたいのだが、そうはいかないみたいだ。
ともかく診療を終え、昨日のツケである一万を払い終え、病院を出る。

帰宅し、メシを食いながらネット巡回。だら〜っとしていたら、ふとあることに
気付く。そうだ、アミノサプリのTシャツの懸賞ってもうやってるんだよなぁ。
ネットで応募、すぐわかるらしい。我が家にはダンボール三箱分のアミノサプリ
二リットルがある。合計十八本。こんだけあればどれか当るかもな。

結果:全部ハズレ。

ちくしょう、俺はのんべぇTシャツ欲しいのに……。あぁん、こういう懸賞は
当らないものなのね。十八戦全敗の成績に切なさを覚えて不貞寝。ちくしょう
やってられっかぁ〜、ごろ〜り。

どこか遠くで犬の声がする。我が家の犬だろうか。あぁ、もううるさいなぁ。
俺は犬嫌いだから、声聞いているだけでイヤなんだよ……気配!?

起きれば目の前に犬、絶叫。


 4月1日
抱き枕を購入してから気付いた左肘の異変。診断によるとそれは骨ではなくて
皮膚の下に出来た異物らしい。放っておいても害は無いだろうと言われたけど
放っておきっぱなしは寝覚めが悪い。そんなわけで今日、除去することに。

手術は朝の十時からである。苦手な早起きをして病院へGO!受付で診察券を
出して、さーて待ち時間の間に本でもゆっくり読んでいようと思ったら、すぐ
呼ばれる。席に座る間も無かった。はや〜い。いいことだ。だが心の準備が何も
できちゃいねぇ。

簡易ベッドに寝かされ、左腕に注射二本ぶすり。抗生物質のテストとのこと。
その間に右手に点滴を打たれる。注射は嫌いではないが、薬品を注入されると
痛い。う〜ん、こりゃ子供は泣くよなぁ。

しばしボーっと寝ていたら、抗生物質の反応に異常が無いことを確認。点滴が
抗生物質の入ったやつに変えられ、それを持ち歩きながら手術室へ歩いてGO!
大きな病院ではないからすぐなのだが、何とも妙な気分だ。

手術室はイメージ通りのあれだ。よくサイコホラーやサスペンスなんかで登場
する、でっかいライトがあって、部屋全体が何か緑色のような感じだ。簡素な
ベッドの傍らには鉗子やメスなどがいっぱい。う〜む、これは怖い。

上着を脱ぎ、言われるがままにベッドに寝る。すると動かない様にと右手と足を
縛られ、シャンプーハットのようなビニール袋を頭にかぶせられ、挙句に目隠し
される。あの〜、切ってるとこって見せてもらえないんですか?

「いいですけど、止めておいた方がいいですよ」

はい、やめておきます。大人しく目隠しされ、おもむろにヘッドフォンを装着
させられる。聞こえるのはクラシック。往年の電波少年の拉致を思い出すけど
俺は猟奇医療ゲームや先日見たハンニバルを思い出して怖くなる。手足縛られ
目隠しされ、それと対比しての優雅なクラシック。いやぁ〜。

しばらくしていると、手術が始まる。麻酔を打ってもらい、肘の感覚が消える。
そうして手術が始まったわけだが、鉗子が肉を広げるのがわかるんですよねぇ。
痛いの、これ。なんつーか、ホッチキスでやられてる痛み。でも我慢。あぁ〜
何か切ってる感覚がある、痛いからあまりひっぱるな、何かスプレーしたな……
って、もしかして効きが弱い!?

そうこうしていると鉗子が離れ、縫われる感覚がする。うむ、どうやら終わった
みたいだな。目隠しを取られ、眼鏡をかけてもらい、開口一番に、

「切ったもの、見せて下さい!」

見せてもらったそれは直径1cm程度の赤いぶよっとしたような肉の塊。中を
見たいと言えば、切って中身を見せてくれた。白い。なんだこれは?気になる
ために病理解剖を頼む。ふと、ここであることを思い出す。

それは昨日、マチルダ(いい加減オカマさんと連呼するのはあれなので、仮称)と
電話をしていたんですよ。んで、肘のことを言ったら、

「それ、ちょうだい。もらってきてよ」

待て待て待て待て、もらってどうすんだ。腐るだろう。それに俺がいやじゃ。
そう言ったがどうしてもと言われる。しかしやはり気が乗らない。それを持って
いてどうするのかと訊いたら、何とそれがあれば側にいるように感じるからと
答えが返ってくる。

何だか怖い、いや、何だかじゃなく、これは悪いが素で怖い。しかし、約束と
して貰えたら貰ってくると言って、電話を切った。

「あのぉ、つかぬこと訊きますが、それ、もらえますか?」

「病理解剖するなら無理ですね」

よかったぁ〜。マチルダにゃ悪いがほっと胸を撫で下ろす。着替えを済ませて
手術室を出る。もう麻酔が切れた。痛い、いた〜い。んで、会計は如何ほど?

「お会計、二万円となります」

はぁ?二万?ちょ、ちょっと待って、今日だからってそんな冗談言ってるの?
え、本当?マジで?あ、マジですか……あのぉ、残り一万は明日でいいですか?
今ちょっと足りないので。あ、どうもありがとうございます。

四月じゃなくとも病院代はバカにならん。